最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

010.ひるめしの苦悩

うちの会社は一時間の昼休みがある。
その一時間は基本的に何をしても大丈夫で、食事をとるのは勿論、
昼寝をしても構わないし、買い物に行っても大丈夫だ。
なんであれ、一時間以内に全ての事を済ませれば問題はない。


僕が出社するのは朝の11時だ。
この時間帯だと朝でもないし昼でもない。中途半端な時間の出勤になる。
とりあえず何か腹に入れておかないと集中力も保たないので、
会社への道の途中でランチパックを買って、それを食べながら仕事を始める。

12時を過ぎると、大体どこの店もランチタイムでお客がごった返している。
僕は待ったり並んだりして何かをする、というのが大嫌いだ。
だからこの時間帯にランチへ向かうなんてことはまずしない。
「ランチパックだけでは足りない」と、腹の虫が少しだけ愚図り出す。

それが少し収まると仕事が一気に進む。一日で一番乗るタイミングだ。
こうしてその日の作業の大元を作り終わるのが、14時~15時の間になる。
この時間になれば行列やら待ち人はいなくなり始めるので、
店にたどり着けばすぐさま席に付け悠々と注文が出来るのだが、
今度はランチタイム時間の終わり、という問題が出てくる。
会社の裏近くに、1000円以内で色々食べられる良心的な店があるのだが、
この店は14:30までしかランチタイムをしていない。
他にも味はいいのだが、遅くまでやっていない店というのはたくさんある。
仕事のキリを重視するか、食事を重視するかはいつも悩むところだ。
結局その日のうちにそれは終えなくてはならない。
今の段階でクオリティを上げ、ランチタイムを遅くまでやっている遠い店に行くか、
それとも帰ってから頑張れば良いとそそくさと食事に出かけるか、である。

そしてようやっと会社を出たところで、今度は何を食べるかで悩む事になる。

「今日は遅くまでかかりそうだから、何かガツンと入れておこうかな」
「ああでもそういえばこないだあの店には行ったばかりだった」
「久々にフォーもいいけどもう店は閉まっているな」
「あの店はまだランチタイムをやっているけどちょっと歩くのが面倒だな」

こんな事考えながら、ウェブデザイナーの昼休みはのんびりと過ぎていく。