最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

017.海へ行かないか

僕は渋谷で働いている。
渋谷にはカルチャーの大体が揃っており、休み時間に観に行く事は容易い。
今日も休み時間にカレーを食べた後、散歩ついでにタワーレコードへ行った。
本当は邦楽CDを見たかったのだけど、生憎3Fは工事中だった。
仕方ないのであまり行く事の無かった5Fへ。洋楽エリアだ。

僕は基本邦楽好きなので、洋楽で見るアーティストは限られている。
数少ないアーティストの中で、最近特に聴き込んでいる人の下へ。

というわけで今日買ったCDは、John Butlerの「Tin Shed Tales」。


John Butler(ジョン・バトラー)はオーストラリアのジャムロックバンド、
John Butler Trioのリーダーでありアコースティックギターの名手(だと個人的に思っている)。
FoZZtoneの渡會将士氏がオススメしていたのでYoutubeで探して聞いてみたところ、
ギター一本から鳴っているとは思えない音の複雑さと軽快さに惚れてしまったのだ。

John Butler Trioはその名の通りスリーピースバンドだが、
僕が好きなのはやはり最初に聞いたジョンのアコースティックギターのソロプレイだ。
だからこそソロツアーアルバムである「Tin Shed Tales」は打って付けだった。
買って帰社してからぶっ続けで流しながら作業をしてみた。

アコースティックギターのみを使った楽曲ばかりだと思っていたら、これが違っていた。
バンジョーを使ったカントリーな曲もあれば、ハーモニカを吹きながら弾く曲もある。
ボイスパーカッションもあるのにはちょっと驚かされた。多芸過ぎるぞ、ジョン。

それでもやはり、12弦ギターとアンプを介した音は一段と引き立っている。
初めて彼の代表曲『Ocean』を聴いた時、
僕はアコースティックギターがロックな楽器だと気付かされた。
あの曲は多分これからもずっと僕の中で大事な曲であり続けるだろう。

アルバムには歌詞カードの代わりに、ジョンのMCの和訳が付いていた。
『Ocean』の演奏の前に語った台詞。その曲、音楽に対する愛の深さ。
日本人のアーティスト、特にいわゆる売れている人達の中に、
ジョンのような気持ちで演奏をしている人が何人いるのだろうか?

総じて、アコースティックギターはロックじゃない、
と思っている人に是非聴いて欲しいアルバムだなと思った。
ジョンの魅力はこれに全部詰まっているだろう。