最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

034.準備オーケー ほんとはまだ

僕は、人にモノをあげるのが好きだ。

もっといえば、人に何かをプレゼントする、
そしてそのプレゼントを何にするのか、
それを考える時間を愛している。


先日は、会社でお世話になっている先輩の誕生日だった。
僕は先輩と最近交わした会話を、仕事をする傍らで思い出している。
そういえば今僕は先輩にLAMYのsafari(万年筆)を貸していた。
最近万年筆に興味が出始めた、といっていたから、
最近ロクに使わなくなってしまったsafariを貸していたのだ。
そうだ、万年筆をあげよう。

その先輩には入社してから随分とお世話になっていた。
ここいらで一度その恩を、形として返しておくのも悪くない。
金額的には5000円前後が、高すぎず安すぎずいいだろう。
では、その価格帯で買える万年筆を、買いに行こう。

そうなると、万年筆を沢山扱っている店に行く必要が出てくる。
渋谷駅の伊東屋は好きだけど、品揃えはそこまで豊富じゃあない。
青山にある書斎館は数は多いけど価格帯が高いし、何より遠い。
ここはやはり、歩いて15分くらいで行ける代官山蔦屋に頼る他ない。

そうして一本、決めた万年筆。
万年筆はシャープペンやボールペンと違って、
インクを変える事で色んな色を楽しめる。
選んだ万年筆は、そういえばコンバーターが最初から付いていたっけ。
万年筆は青というのは定番だが、それ以外の選択肢があってもいい。
先輩に似合いそうなインク瓶も一つ、セットでプレゼントしよう。

こんな感じで、僕はプレゼントを選んでいる。
その人が何が欲しいかが判っていれば、選ぶのは簡単で楽しい。
そこにひとつアクセントを加えてみるのは僕なりの遊び心だ。

また、今回の例とはまた違うのだけども、
相手が何を欲しがっているのか判らないという時も、これはこれで楽しい。
そういう時には、相手の生活イメージを頭の中で浮かべてみる。
そしてそこにあればきっと、相手の生活のプラスに多少でもなるものをあげよう、
そういう事を考えている。

僕には特に、大切な友達が4人いる。
大学を卒業してから彼らとは、もう気楽に会えなくなってしまった。
「明日部室で鍋やるべ」というメールももう一生送り合う事もないだろう。
でもこれからも、彼等だけにでも誕生日はプレゼントをして行きたいと思う。
彼等は勿論、僕の周りにいてくれている人々にも。

その人達の事を考えて生活出来る事は、きっと、とても幸せな事なんだから。