最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

048.揺るがぬ勇気

音楽とは基本的に『耳』で楽しむものだ。
メディアプレイヤーにヘッドホンなりスピーカーをつけて、
聴覚を楽しませる為に僕達は音楽を流す。

それは今の時代になってより加速した気がしている


今の音楽業界は、CDが絶望的に売れていないらしい。
アルバムのプラスチックケースを開けてプレイヤーに放り込まなくても、
iTunesの曲名を選んでクリックすればすぐに聴く事が出来る。
またmp3というデータになった音楽は、ネット上で買う事が出来るようになった。
ボタンひとつでアルバムではなく、一曲単位で買う事が出来る。
ミーハーな音楽を買う時に、他の無駄な曲を買わなくても済むようになった。

だけど、音楽は基本的に音と言葉で出来ている。
そして言葉とは聞き取り易さは人によって違うし、
同音で全く意味が変わってくる言葉もある。
それを100%理解するには、歌詞カードを、見なくちゃならない。

電車の中で、友達に貸す為にと持ってきたアルバムを開いた。
村上春樹の小説の合間にと思って歌詞カードを小説のように眺める。
そこで初めて理解出来た歌詞があった。
言葉だったんだ、というものもあった。

邦楽ロックは音だけではなく、言葉にも意味が込められている。
それは意味を完璧に理解出来る、という点で洋楽よりも移入出来る。
それはちょっとした、激しい朗読を聴いているような気分だった。