最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

051.ラジオをつけ家を出る

検索でこのブログを見に来てくれている(しまっている)人も少なくない。
検索ワードで多いのが『ave materia 感想』である。
いうまでもなくPeople In The Boxの『Ave Materia』の事だろう。

今、僕の意見を簡潔に纏めるなら、
『悪くはないけどベストなアルバムじゃあない。ピープルには違いない』
という感じだ。


僕が彼等の曲で一番最初に聞いたのは『ユリイカ』だった。
なんだか不思議だけど焦燥感と切なさに駆られる曲だなぁ、と感じたのは前に語った。
それは決してそこまで、良い印象だったとは思えない。

そんな彼等を気に入る切欠になったのはファーストアルバムの『Frog Queen』だ。
中でも『6月の空を照らす』が僕のツボを確実に推してきた。
変調の多い独特の曲だった。それでも実に聴いていて心地の良い曲。

また、一個前に戻って『Bird Hotel』の『ヨーロッパ』を聴いた。
初めて聴いた時は衝撃だったし、これこそPeople In The Boxらしい一曲だと思う。
彼等、というより波多野の得意とするものとして“語り”がある。
『鍵盤のない、』や『JFK空港』といった曲だ。
『ヨーロッパ』はその語りのある曲の中でも一番語りがハマっている。
JFK空港』も泣いてしまうくらい好きだが、あれはちょっと長過ぎる。

そうやって僕はじわり、じわりとPeople In The Boxに浸って行った。
おまけに村上春樹に浸ったのだが、まぁそれは別の話だろう。
彼等が売れてしまったのは嬉しくもあるし、逆に少し残念だ。


優しくなったって云うのは、そういう事なのかもなぁ。