最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

053.他人の眼が気になっている

先日、友達と打ち合わせをした。ミーティング、ともいう。
来年から何かを始めよう、と、持ち出したのは半分僕で半分向こうだった。
話はとん、とん、と進み、そして打ち合わせた。


僕の頭の中には前にも書いたけど、住人達と街がある。
半年以上彼等を外に出してやれなかったから、今彼等はとても出たがっているし、
僕もそうしてやりたいと思っているし、それのために今も準備をしている。
そして友達にも、そういった住人達がいた。

互いの住人達を交えさせてやれればいいな、と友達がいった。

僕の頭の中にはいくつかの世界が同時に存在していて、
たまに、本当にたまに、その世界が混ざり合う時がある。
遠目から見ればきっと全てが混ざっているんだろう。斑色の世界だ。
いままで一切の関わりがなかった者同士が出会い、会話が生まれる。
そんなのが僕の脳内では連日繰り返されている。
彼等は僕が音楽を聴けば踊り出すし、演奏もする。
また、僕が苦悩している時、彼等はなるべく落ち着いている。
休みの日のアパートの一室で、絵を描いたり、コーヒーを飲んだりしてる。
そして僕はそれをなぞるような休日を過ごそうと思い、仕事をする。

僕はそれを随分長い事続けてきた。誰かに話す事なんてなかった。
今回の打ち合わせで、友達と話したのが初めてだろう。
そんな人は僕だけではないと安心した。

まだ人にはいってはいけない。
僕達は虎視眈々と準備を進める。