最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

078.Photograph part.2

気づけば前回の記事から約5ヶ月経ち、挙げ句年も明けてしまった。

もう少し頻度は上げたいが、きっと今年もこんな調子だろう。

それでは、苦し紛れに書き上げた、前回の記事の続きからどうぞ。

 

DP2xを買った事で、僕はいよいよカメラの深い沼に足を踏み入れ、

る事はなかった。なんでかわからないけど、実はそこまでだったのだ。

DP2xを買った後に『もっと気軽に撮れるカメラが欲しい』と思い、

手を出したのはRICOHの名作GR Digital Ⅳだった。

これはDPシリーズとよく比較されるカメラで、最高のスナップカメラと呼ばれていた。

暗いところでもある程度撮れるカメラが欲しかった僕はコイツを買ってみた。

結論から言うと、面白いカメラではなかった。

勿論良いカメラだとは思う。ボディは小さいし(DPはレンズが完全に出っ張ってる)、

F1.9というなかなかの明るさを持っているから暗所での撮影も気楽に出来た。

だが、それだけなのだ。これが最初のカメラなら、どれだけよかったか判らない。

Foveonの独特の描写にやられてしまった後で、こいつは普通のカメラなのだ。

GRDが優等生なら、DPは間違いなく不良だろう。

でもこの不良は、優等生には到底及べない特別な何かを持っていた。

GRDは僕には良い子ちゃん過ぎたのだ。

そんなわけで、GRDを買ってから急激にカメラ欲は薄れて行った。

一応持ち歩きはしていたが、その頃にはiPhone5を買った事もあり、

メインカメラの座はそちらに移っていた。

iPhoneのカメラは、いろんなところでいろんな意見が言われているが、

僕は嫌いではない。むしろ好きだ。

あの薄さ、軽さ、そして何より様々な機能がついていて、

携帯の画面サイズで見れば違和感のない写真が撮れてしまう。

さらに豊富なカメラアプリ群の存在。これは他のカメラにはないものだ。

結局、iPhone5に変えてからはDP2xも出番を失っていった。

一発入魂系のDP2xは、気軽に持ち出せるスナップカメラではない。

DP2xで撮った事で、もったいない事をしたなと思う写真もいくつかあった。

僕は毎回芸術的な写真を撮りたい訳じゃあないのだ。

それから、二年くらい経ってからだろうか。

僕の職場の先輩でカメラをやっている人がいた。

先輩は天体写真を撮るのが趣味なのだが、星はもちろんのこと、

街角やキャンプのスナップ写真がとても良く撮れていた。

その先輩とは案件で一緒のチームになった事もあって良く話すようになり、

次第にその先輩のカメラ熱が僕にも伝染っていった。

その頃になるとミラーレス一眼も勢力を拡大しており、

かつて買おうとしていたPENは既に5、6代目が発売されていた。

期は熟していたのだ。

そして僕は、コイツを選んだのだった。