最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

084.泥まみれのレンズ

またFED-2の記事じゃないんだ。すまない。

 

先日某富士屋に使わなくなってた中古レンズを売りに行った帰り、

ジャンクコーナーをいつもの流れ的に覗いてみたところ、

Super Takumar 50mm f1.4がぽん、と転がっていた。

50mm f1.4、なんてスペックは今日日のレンズじゃトンデモな値段になっている。

ところがそれは、CDアルバム一枚分くらいの値段でそこに置かれていた。

 

手に取ってみたところ、レンズは黄色変化してる。

後期のタイプに見られるアトムレンズだ。

それ以外の汚れ(チリやホコリ)はなく、クモリも見られなかった。

これは、と思いヘリコイドを回してみる。ザラザラとした感触。

多分ヘリコイドのグリスが切れてるんだろうと思った。

なら分解して綺麗にしてやれば、全く問題なく使えるはずだ。

実は先日もジャンクコーナーから同じタイプのレンズを回収、修理してたので、

分解清掃に関しては全く不安はなかった。

それに、ここに置いておいたら、悪質な転売屋にそのまま売りさばかれ、

悲運に見舞われてしまうかもしれない。

だから、僕は悩んだ結果、この不遇の50mm f1.4を持って帰る事にした。

直せるものは直してやろうと。

 

 帰ってみてネジを外してビックリしたのだが、例のザラザラとした感触は、

ヘリコイド内に溜まった汚泥のようになったグリスのせいだったのだ。

いや、これは果たしてグリスのみが原因なんだろうか?

本当の泥のような汚れも見られる。これ、泥の中に落としたんじゃないの?

そうなると、なんでレンズ部分は無事なんだろう。必死に汚れを落としたのだろうか?

なんにせよ、よくもまぁこんなものをジャンクコーナーに置いたものだ。

というかよく買い取ったな…

 

Untitled

 

で、結果として、ヘリコイドを完全分解して清掃、グリスアップだけ施した。

本当に綺麗だったもんだから、レンズ本体は一切分解してない。

だから描写自体はオリジナルそのままと言っていいだろう。

会社帰りだから夜なんだけど、手持ちでここまで撮れる。

開放値1.4のスペックはダテじゃない。

 

Untitled

 

被写界深度が浅いから、ピントの合わせ方も考えなくちゃいけない、

とか細かい事考えるより、ガンガンシャッター切ってった方が良く撮れるレンズだろうな。