最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

090.Lファスがやってきた

僕は皮革製品、いわゆるレザーものが好きで、日常生活で使うものの大体がレザー製だ。

最初は多分ペンケース、そこから一度飛躍して鞄、そして財布、パスケース、靴などなど。

レザーは使って行くうちに姿を変えていって、それが唯一無二の魅力になる。

使い込んでいって汚れて。それを味と言えるのがレザーだろう(あとは帆布とかかな)。

 

社会人になって一年目。僕はパスケースを買い替えようと思った。

当時使っていたのは、いつだかの誕生日の時に母が買ってくれたバーバリーのパスケース。

緑色のレザーものだったのだが、それは学生生活を経てすっかりボロボロになっていた。

革は問題なかったのだが、パスケース特有の透明なリフィル部分が破れていたのだ。

愛着はあったけど、さすがにこれをこのまま使い続ける気は起きなかった。

 

そうして買ったのが、cyproductのコインパースだ。

これは定期入れとコインケースの両方を兼ねているというもので、

僕が買ったのはブライドルレザーのもの。元々馬具の為に作られた丈夫なレザーだ。

これは使い勝手が実に良く、小銭を取り出す時に大いに役立ってくれた。

それまで長財布に小銭もまとめて入れて使っていたのだが、

紙幣と硬貨で財布を分ける事で財布はかさ張らなくなった。小銭を作る事に躊躇いもない。

それにこのコインパースは定期を入れる部分にお札を畳んでいれておけるのだ。

Suicaに1000〜3000円チャージして、お札を入れておけば、

これだけ持って(運賃の限界はあるけど)どこへでも行けるという代物だ。

 

僕はこれを毎日のように持ち歩いていた。そうして4年目を迎えた今年の頭の事だった。

コインパースが壊れた。厳密に言えば、コインパースのホック部分が壊れてしまった。

ホックを固定しておく為の金属のワイヤーのようなパーツが拉げてしまったのだ。

金属パーツの疲労による破損だったので、修理に出せば直してくれるものではある。

しかしこれが無くなると、僕はなんにも出来なくなる。

なんせ毎日使っている定期入れ兼財布なのだ。なくなると非常に困る。

幸い他の部分は壊れていないので、沢山小銭を入れなければ溢れ出ることもない。

そうやって誤魔化しながらコインパース使っていた中、プレゼントを貰える機会が出来た。

何がいいだろうなーと思ってしばらく考えて、ポケットに入れていたコインパースを思い出し、

『あ、そうだ。コレの代わりになる新しい財布が欲しいな』と思った。

 

そんな訳で買ってもらったのがこれ。土屋鞄のL字ファスナー財布。

二枚のレザーの二辺を縫い合わせ、残りの二辺をファスナーで合わせたシンプルな財布だ。

他の財布も考えたが、ホック式は前のと同じ壊れ方をしてしまうので考えて辞めておいた。

内側にはもう一枚薄手のレザーが縫い合わされていて、間仕切り兼収納スペースになっている。

ここには本来は小銭を入れて使うみたいだが、僕はここに定期を入れておいた。

そして本体の片側には小銭を、もう片方にはお札とレシートが入るようにしてみた。

まだレザーが馴染んでおらずやや固めで小銭の取り出しがややしにくいが、

どうやらこのレザーはエイジングでかなり柔らかくなるそうだ。

だからしばらくはこちらが合わせてあげよう。そのうち素直になってくれるはずだ。

 

余談になるが、これとちょっと悩んだのでHerz製のラウンドファスナータイプのがあった。

Herzは最も信頼しているレザー製品メーカーで、僕の持ってる革鞄は殆どここのモノだ。

今回も此処に任せようかとも思ったのだけど、本体上部にロゴの刻印があるのが気になった。

些細な事なのだけど、土屋鞄のLファスにはそれがない。

ロゴは中の間仕切りにひっそりと押されているだけで、様面はツルっとしたレザーそのもの。

それにカラーは純粋無垢なオーク。エイジングを楽しみたいなら断然こちらだ。

こんなLPページまで作ってあるので、エイジング故の人気の高さが伺える。

www.tsuchiya-kaban.jp

 

そんな訳で、僕の元にやってきたLファス。これからどんな感じに育っていくのか、

そしてどんな場所へ一緒に付いてきてくれるのか。とても楽しみだ。

 

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