最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

207.M2が来たと思ったら帰っていった話

先日、かねてから購入を考えていたM型ライカを買った。

機種は35mmを基本画角としているM2。

 

 

バルナックライカからライカの門を叩いた僕だったが、やはりM型は欲しかった。

友達が使っていたM4-2を触らせてもらった時、ファインダーの見えは良かったし、

ピントの合わせやすさは間違いなくM型に軍配があがるだろう。

フィルムも裏蓋が開く様になって多少は入れやすくなったし、

レンズもライカはもちろん、コシナが今も新品を作ってくれている。

 

僕の中で、M型はバルナックの上位互換という印象だった。

長年使われてきたバルナックの欠点を改善して生まれたカメラ。

中古価格もバルナックのそれよりも高いし、

欲しいと思っても、おいそれと手が出せなかった。

 

だからこそ、手に入れた時の喜びと、期待はバルナックのそれを超えていた。

思えばそれがよくなかった。

 

 

買って数日後、会社に向かう道がてら写真を撮ってて気づいた。

本体の左側にあるフィルム送りを確認する赤い点2つ。それが回っていない。

おや? と思って撮ったあとにもう一度フィルムを巻いてみる。

"カリカリ"という、ひっかかる感触がした。赤い点は半周もしないで止まった。

つまり、フィルムのパーフォレーションがギアから外れてるのだ。

 

先に述べたように、僕の中でM型はバルナックよりいいカメラという位置付け。

バルナックはフィルムをいれるのにもコツがいる。知らないと確実に壊す。

それに慣れきっていた自分が、裏蓋が開くM型でミスするわけないと思っていた。

しかしどう見てもフィルムはちゃんと巻き上げられていない。

 

正直ものすごくショックだった。

失敗してしまったフィルムを取り出して、練習用のフィルムで何度か試してみた。

しかしそれでも途中でギアは外れる。気分の悪い感触が手に残る。

 

 

この時ツイッターで一人愚痴ってたのだけど、

M2への不信感が募っていくのが今見てもわかる。

生まれて初めてカメラ投げたいって思ったよ。

 

もちろん50年以上昔のフィルムカメラだというのは百も承知だけど、

このM2は整備済みと聞いていたから尚更ショックだったのだ。

整備されてんのにこの有様か! という。

一本目のフィルムにと込めた、AGFA Vista 400は15枚目で止まっていた。

 

FH020015

 

最後の一枚はこんな感じで見事に多重露光しまくってる。

 

結局買ったお店に持ち込み、調子を見てもらってフィルムの入れ方を教わり、

そしてもう一本フィルムを試している途中でまたギアが外れた。

そして二日後にまた持ち込んで、今修理中というわけである。

まさか憧れのカメラでこんな目に遭うことになるなんて…

フィルムカメラの脆さ、危うさを改めて思い知らされる。

 

というわけで、修理から戻ってきて、ちゃんと使えたら改めて。

 

FH020002

 

あ、一応1〜5枚目くらいまでは普通に撮れてたよ。