最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

036.銀色の眼で追いかけてる



僕はガラスという材質が好きだ。


固体なのに液体のように見える、でも触ればその固さは堅牢なものだ。
 
分厚いガラス製のコップを持っている。
ところどころに塵のようなものが入り込んでしまっている。
それが水に浮かぶもののように見えてとても滑稽だ。

『ガラスは液体』なのだとどこかで読んだ。
欧米の古い教会のステンドグラスは長年を掛けてゆっくりと溶ける。
差し込まれる光が水中の揺らぎのように見えるのだと。
そこに人間は神秘性を見る。