180.「多分 きっと」で撮る、ローライ。
ゴールデンウィークの最終日、ローライ35Sがドイツからやってきた。
初代高級コンパクトカメラといわれる名機「ローライ35」。
それのさらなる高級仕様版として作られたのがこのカメラ。
レンズはRollei製Sonnar 40mm/f.28。CONTAX T2と同じ名前のレンズだ。
ローライ35シリーズはフィルムカメラを始めて間もない頃から知っていた。
小さなボディに詰めこまれたギミックとツァイスレンズを備えたそれは、
フィルムカメラ初心者の僕にも魅力的に思えた。
しかし、ひとつの問題がその前に立ちはだかる。
それが「目測式」。ローライ35は目測式カメラだった。
さすがにこの小さなカメラに距離計を積むのは無理だったのだろうか。
そもそも発売当時はハーフカメラが流行していたらしいので、
目測でピントを合わせて撮影する、というのは一般的だったんだろう。
LC-A+がダメだった僕は、結果としてローライ35も敬遠するようになっていた。
しかし、最近になってライカで被写界深度目盛を使うようになり、
正確なピント合わせを行わないでも撮影をするようになっていた。
むしろ神経質にならず、「きっとこんなもんだろー」でサッと撮るスタイルは、
というわけで、届いた初日。さっそく一本撮ってきた。
使ったフィルムは富士フイルムのX-TRA 400。
絞りはF11〜22あたりを中心に。ボカすことなんて考えちゃダメさ。
これを見た時、T2の写りに似てると思った。同じ銘のレンズなだけはある。
ライカのエルマーと比べると全体的にしっとりしていると思う。
ハトのいる写真は、暗めになってしまったけれど地面の質感がよく出ている。
季節外れな気のする紅葉は、すこしフレアが出てしまった。
あとF22まで絞りきると解像は悪くなる。これはどんなカメラでもそうだけど。
周辺減光もT2よろしくばっちり出ている。
コンパクトカメラの宿命だけど、僕はこれが大好きなんだ。
それにしても、白の色味がすごくいいレンズだ。
T2を手放した理由は、やはり「電子シャッター」ということにあった。
最初の一台を電子部品の故障で手放すことになったのも不安材料のひとつだ。
ローライ35Sは完全な機械式カメラだから、その心配もない。
故障に臆することなくゾナーが使える、それだけでこのカメラには価値がある。
ちなみにこのローライ35S、相場と比べたらほぼ半値で買うことができた。
というのも受光器の上あたりに豪快な凹みがあるのだ。
ローライ35シリーズは凹みやすいカメラでも有名らしく、
むしろ外装が凹むことで内部の破損を防いでいるのだという。
このローライも、きっとハードな写真好きの元で過ごしていたのだろう。
これは僕も負けていられないな。これ以上凹ませたくはないけれど。