最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

008.音楽の話 その4(終)

 前回の続きになります。

006.音楽の話 その3


 僕はASIAN KUNG-FU GENERATIONと出会い、ロックの洗礼を受けた。
しかし、彼らとの出会いはそこだけで留まったのではなく、
その先に広がっていた、だだっ広いロックの世界を開けてくれたのだった。

当時僕は中学三年生で、インターネットを中心にして生活をしていた。
そこで知り合う人達は大体が同世代の人達で、彼らもまた音楽を聴いていた。
彼らとはMSNメッセンジャー(今で言うLINE、Skypeのチャットみたいなもの)で
毎晩のように新しい音楽を教え合ったりしていたものだ。
同じ音楽を聴いている、というのは話す切っ掛けとしてはかなり便利なもので、
僕はASIAN KUNG-FU GENERATIONを聴いているとウェブに載せている人には積極的に
話しかけていくようにしていた。今思うと、とんでもなく見境がない。
しかし学校ではBUMP OF CHICKEN旋風が巻き起こっており、
「え、アジカン? 全部同じに聴こえるし。やっぱバンプだろ」
みたいな風潮が流れていたので、僕はネットに自分の居場所を求めたわけだ。
彼等が教えてくれる曲は僕がまったく知らないものが多かった。
当時仲の良かったメッセ友達から教えてもらったthe band apartは、
そうした中で特に印象に残っており、今でも聴くと彼女のことを思い出す。

また、ASIAN KUNG-FU GENERATIONは「他のバンドの曲を聴け」と、
自身たちが聴いている曲を積極的にリスナーに進める事が多い。
今でこそTwitterが普及し、アーティスト達がどんな曲を聴いているのかは
彼等のツイートから知ることが出来るが、当時はブログしか発信ポイントがなく、
定期的に日記を書いていた後藤正文氏の情報は僕にとってはかなり重要になっていた。
OASISweezerといった海外の著名なアーティストから始まり、
ELLEGARDENストレイテナーSPECIAL OTHERSLOSTAGE
後藤正文氏が発信してくれた音楽達は僕の生活に溶け込んでいった。

そうやって知っていたアーティストから、さらに音楽は繋がっていく。
今も僕の中では音楽の連鎖がとめどなく起き、止まることはこれからもないだろう。
もしかしたらこの先、今は全然聴かないジャンルにも飛び火するかもしれない。
そう考えると、ちょっと嫌な気分にもなるのだが、まだ僕の知らない場所に、
今聴いている音楽が繋がっているのかと思うと、少しわくわくする。



というわけで全4回に渡った音楽の話はこれでおしまいにします。
ただ、別に音楽の事をここで語るのを辞める訳ではなく、
音楽を聴くようになった切っ掛けを話すを辞める、という事です。
次からはアルバム一枚取り上げてそれを話す感じにしようかな。