最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

009.文具に関するいくつかの考察 その2

今回から僕が所有する文具の中でも、特に気に入っている、愛用している、
もしくは新しく購入したいくつかの文具を紹介していく。
簡単にいえばただの自慢話である。

記念すべき第一回はLAMY2000のペンシル、0.7mmモデルを紹介したい。




LAMY2000は前の記事でも紹介したドイツのメーカー、LAMYのフラグシップモデルだ。
万年筆、ボールペン、ペンシル、ローラーボールなど展開も多く、
国内では四色ボールペンが特に人気があるらしい。
そんな中で、僕が選んだのはペンシル、いわゆるシャープペンシルだった。

ウェブデザイナーという仕事は、ほとんどがPC作業故に筆記具の出番は少ない、
と思われるかもしれないが、実際のところアナログの出番は多い。
修正指示は印刷されてくる事が多いし、コーディングの構造を考えたり、
チャットだけでは説明出来ない事も紙に書けば一瞬で伝える事が出来る。
どれだけ技術が進歩しても、書くという行為は未だ何物にも代え難い。
そういう「書く」という行動で、僕がもっとも使うのがシャープペンだった。

小学校二年くらいだろうか、初めてシャープペンを手にした時、
それまで鉛筆を使っていた僕は「なんて便利なものなんだろう」と感動した。
なんせ、削る必要がないのだ。ノックするだけですぐに細い線が引ける。
今でこそ、趣味が高じて芯ホルダーや色鉛筆を仕事で使うにせよ、
シャープペンの持つこの手軽さにはかなわない。
じゃあ、ボールペンでもいいじゃないか、といわれるかもしれないが、
ボールペンはボールペンで「消せない」という問題がある。
シャープペンなら消しゴムですぐに間違いを消す事が出来るので安心出来る。
そしてなにより、僕はあの、黒鉛の独特の風合いが好きなのだ。
ボールペンのインクの、あのギラギラとした感じは未だに好きにはなれない。
鉛筆よりも遙かに便利な、それでいて鉛筆の持ち味をちゃんと持っている、
そんなシャープペンという文具は万年筆を凌ぐ、僕が最も好む文具だ。

LAMY2000のペンシルは、そういったシャープペンの中の最高峰だと思う。
なにがって、その恰好良さである。こんなデザインのシャープペンは他にない。
発売からもう何十年と姿を変えてない事が、そのデザインの完成度を物語っている。
決して柔らかいジェルがグリップに仕込まれている訳でもないし、
ペン先端に芯をくるくる回す画期的なシステムが組み込まれているわけでもない。
しかし、人間であれ道具であれ、印象を決めるのはやはり見た目だろう。
その点でLAMY2000は機能を補って余りある見た目を持っている。

使っているだけで、満たされた気持ちになれる、
これが文具で特に大事な部分ではないかと思うのだ。
LAMY2000は現状、僕を満たしてくれる、
唯一のシャープペンだろう。


ちなみに、何故0.7mmモデルなのか、という話。
国内ではシャープペンといえば0.5mmが定番だが、
海外では0.7mmが主流らしい。実際使うと0.7mmのほうが鉛筆に近く、
僕はシャープペンはもっぱら0.7mmのモデルを使っている。
LAMY2000ペンシルの0.7mmモデルは、ドクターラミーも愛用しているとの事だ。
(実は購入する決心をしたのはそのせいだったりもする)