013.武蔵野の街から今ここへ
ギター教室の体験授業に行ってみた。
思えば、ギターという楽器を手に入れてからもう5、6年も経つ。
なのに僕は趣味レベルでもかなりヘタクソである。
ギターといえばちょっとオシャレな趣味みたいなもんだが、
とてもじゃないが堂々と『ギター弾けるんですよ』と言えたもんじゃない。
まぁ言っているんだけどさ。
だからいい加減、ちゃんと胸を張って言えるようになりたいと思って、
ギター教室に通ってみる事にした。
楽器もいわば自己表現の道具で、カメラや筆記具とは似たようなものだ。
音という自己表現が出来れば、きっと楽しくなるだろう。
そう思って僕は吉祥寺の街へ向かった。
吉祥寺は僕にとって、思い入れの深い街である。
中学三年の頃から三年に渡り思い続けた人の街という事もあって、
僕の酸いも甘いも、よく知っている街なのだ。
しかし、吉祥寺駅周辺もずいぶんと変わり始めた。
待ち合わせに遅れてくる彼女を待つのによく使ったブックオフはビルごと潰れた。
目印にしていた柱も、彼女が笑いながら降りてきていた階段も、今はない。
会社に通い出した頃は、まだ全てが残っていた。ほんの数ヶ月前の話。
僕は毎朝そこを通る度に、あの時の事を思い出しながら、
もしかしたら彼女とすれ違えるかもしれないと思っていた。
でも現実はそうそう面白い偶然は起きないもので、
結局再会は敵わぬままその場所はもうなくなってしまった。
工事現場特有のビニールシートの囲いの奥で、
まだ昔の僕は彼女を待っている。
思えば、ギターという楽器を手に入れてからもう5、6年も経つ。
なのに僕は趣味レベルでもかなりヘタクソである。
ギターといえばちょっとオシャレな趣味みたいなもんだが、
とてもじゃないが堂々と『ギター弾けるんですよ』と言えたもんじゃない。
まぁ言っているんだけどさ。
だからいい加減、ちゃんと胸を張って言えるようになりたいと思って、
ギター教室に通ってみる事にした。
楽器もいわば自己表現の道具で、カメラや筆記具とは似たようなものだ。
音という自己表現が出来れば、きっと楽しくなるだろう。
そう思って僕は吉祥寺の街へ向かった。
吉祥寺は僕にとって、思い入れの深い街である。
中学三年の頃から三年に渡り思い続けた人の街という事もあって、
僕の酸いも甘いも、よく知っている街なのだ。
しかし、吉祥寺駅周辺もずいぶんと変わり始めた。
待ち合わせに遅れてくる彼女を待つのによく使ったブックオフはビルごと潰れた。
目印にしていた柱も、彼女が笑いながら降りてきていた階段も、今はない。
会社に通い出した頃は、まだ全てが残っていた。ほんの数ヶ月前の話。
僕は毎朝そこを通る度に、あの時の事を思い出しながら、
もしかしたら彼女とすれ違えるかもしれないと思っていた。
でも現実はそうそう面白い偶然は起きないもので、
結局再会は敵わぬままその場所はもうなくなってしまった。
工事現場特有のビニールシートの囲いの奥で、
まだ昔の僕は彼女を待っている。