最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

075.革命家は夢を観る

simploTop.JPG 去る3月9日、渋谷 lax cafeにて、 若い世代に向けた万年筆ミーティングイベント『SIMPLO』を行った。  

これは昨年10月くらいから漠然と考えていたもので、 今年1月くらいに『やるなら今しかねえ!』とティザーサイトを立ち上げ、 スケジュールを立て、場所を取り、そして無事実施する事が出来た。 simploWide.JPG 開場を後にし、残った人達と酒を飲んでいて、 参加してくれた年下の子達が『やってくれて嬉しかった』と言ってくれた時、 酒が入ってるのも相まって思わず泣きそうになってしまった(泣けなかったのは酔い不足)。 中には万年筆の話をしたいから、わざわざ遠方まで出向いていた、という話もあったりして、 『やっぱりああいう場所は必要なんだ』と酒と疲労の入り交じった身体で思った。 (その後、風呂に入る前に気絶するように寝てしまい、翌朝10時頃に起きる事になる) で、話は少し変わる。 昨年10月。東急ハンズにて僕はある人に出会った。 その人はレザー職人で、他にはない形をしたiPhoneケースを売っていて、 当時iPhoneケースを外していた僕はそれに一発で惚れてしまった。 生憎持ち合わせがなくて、その時は泣く泣く諦めたのだが、 後日サイトからメールでのやり取りを経てiPhoneケースを作ってもらえた。 僕はそのケースの出来に、こちらの面倒なオーダーを汲み取ってくれ、 しっかりとした形に落とし込んでくれるその職人魂にグッときた。 そしてiPhoneケースの感動覚めやらぬ中、 『商品のオーダーメイドも受け付けております』の言葉と共に、 職人さんのもとへケースのお礼と、ある事を頼みに伺った。 そうして出来たのがこれである。 pencaseDefo.JPG 『SIMPLO pen case』。 その名の通り、SIMPLO公式のペンケースになる。 元々イル・ブセットや土屋鞄のペンケースを使っていた僕だが、 憧れのペンケースとして工房楔の木製ケースがあった。 あの木製の、ゴロッとした塊から放たれる雰囲気が溜まらなく好きで、 ゆくゆくは手に入れたいなぁ、と思っていた。 だがしかし、あのケースは兎に角高い。かなり良いペンが2本くらい買えてしまう。 製造法故に仕方ないとは思うが、かといってペンケースにあれほどの金額は、 今の僕には出せなかった(というか今後も出さないと思う)。 それに、やっぱり僕はレザーが好きなのだ。 鞄、靴、長財布にコインパース、ノートケースにキーケースまで。 時間と共に自分のものに確実になっていってくれる感じが僕は好きだ。 どうにかしてあの塊感をレザーで出せるペンケースが欲しかった。 だが僕の理想とする塊感を持つペンケースはどこも作っていなかった。 その理想を形にしたのが、この『SIMPLO pen case』である。 箱では面白みがないと思い、デザインのベースは『単行本』になった。 本当の本みたく真っ直ぐ立たせる事が出来るよう、 本の表紙に当たる部分までしっかりと作ってもらっている。 pencafekoncho.JPG 固定方法はコインを加工したコンチョによる紐止め。 表紙を硬く固定してくれるので、気がついたら開いていたなんて事もない。 表紙部分にはA6サイズの紙が収まるポケット(構造上ちょっと曲がってしまうが)、 そして本体部分には4本挿しのペンケース部分がある。 この一冊を持って行けば、とりあえずメモは取れるといった具合だ。 この四本挿し部分にもちょっとしたこだわりがある。 僕はペリカン スーベレーン M400タイプが兎に角好きだ。 なので、作るペンケースも必然的にそれに合わせる事になるわけだが、 ボックスタイプのペンケースはペンが内部で固定されず、 鞄の中でカタカタ鳴ってしまうという点があった。 今回のケースで取った固定法は、仕切りを使って固定する方法。 pencaseDetail.JPG 仕切り板にM400のクリップを止めていく事で、ペンが遊ばないようにしているのだが、 これをすると一本分の中敷きが足りない事になってしまう。 そこで、ケースの内側に切れ込みを作ってもらった。 ここにクリップを差し込む事で、全てのペンがしっかりと固定される。 pencaseClip.JPG ケースを開いた時、ペリカン独特のクリップが見えるのもポイント。 またケースの底部分にはスポンジが敷かれており、 クリップ止めをしない時でも尻軸部分をガードしてくれる。 pencaseTop.JPG 12月に工房に赴き、二回の試作を経てようやく形にする事が出来た。 上記にあげた特徴は『僕の我侭』である(特に切れ込み部分に関しては)。 それをこんな素敵な形にしてくださったajina 川上さんには本当に感謝している。 さて、ここから軽い営業になるので言葉を変えます(露骨)。 このペンケース、受注生産にはなりますが購入する事が可能です。価格は42,000円(税込)。 サイズは先にあげた様に、M400に最適化してあります。 またセーラープロフィットレアロ・ブロギアΣも入れる事は可能です(仕切り止め不可)。 レザーの色やステッチの色も指定可能です。また、上記であげている、 人によっては「いらんわ!」っていう部分はオミットして頂く事は可能です(特に切れ込み部分)。 その他ケースの細かい調整等はajinaさんにお問い合わせ下さい。 というわけで、SIMPLOの報告と、SIMPLO pen caseの報告でした。 年内に第二回をやれたらいいなー、と思います。