最後のフィルム世代より

終わりが来る前に、まだ出来る事がある。

077.Photograph part.1

趣味で写真をやっている。

      

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僕が写真を取り始めたのは、確か高校二年の秋口くらいからだったと思う。 (といっても高校中退の身だったので、正確には二年ではない) その時話し相手もロクにいなかった僕は空の写真を、当時の携帯で良く撮っていた。


 

auのW41CA、画面が180度回転するタイプ。カメラぽく使えるが好きだった。 それで予備校最上階から見える空とかを撮ったものだ。

で、そんな事をしていたら見かねた両親がデジタルカメラを買ってくれた。 

CanonのIXY Degital 10

当時オダギリジョーがCMをやっていた最新機種で、 そのデザインは17歳の僕の心を鷲掴みにした。 今でも充電すれば使えるそれは、性能では使い物にならないけれども、 僕にとって最初のデジタルカメラだという事は変わらない。

 次に手に入れたカメラはNikonのD40。 

 

これは学生時代のアルバイト中、写真を撮る必要があり、 その時はIXYでなんとか仕事をこなしたのだが、クライアントの人に 『美大生なんだから一眼レフカメラくらい持っておけ』と言われたのが切欠だ。 

一眼レフが一体なんなのかも判らなかったが、 漠然といいカメラなんだろうなーというのは判った。それくらい曖昧な印象。 で、家族でも使おうという事で、当時のNikonエントリーモデルのD40を買ったのだ。

標準ズームレンズキットで、確かに撮れる写真はいいものが多かった。 だがしかし、当時の僕は写真の撮り方はピント合わせてシャッター切ればOK、 みたいな使い方をしていたのでまぁお察しの通り大した写真は撮れなかった。 

最初にシャッターを切った時の、あの感覚は今も覚えてる。気持ちの良いものだった。 (ちなみにこれはいつだったか落っことして、レンズは大丈夫だったのだがSDカード挿入口がぶっ壊れてしまい、セロテープで補強しながら使ってた)

それからちょっと間が空いて、大学四年の春先。 卒業を間近に控え、バイトでの給料も貯まり、

ついでに長野の先輩の家に伺える事になり、 せっかくだからちょっと良いカメラ持っていきたいなーと思った。 

とはいえD40はデカくてかさ張る。IXYはこの時にはもう使わなくなっていた。 じゃあこれを気にいいカメラでも買ってみようかな、と思い立ったのだ。

この頃になるとミラーレス一眼が発売から結構経っていたので色んな機種が出ていたし、 高級コンデジという新しいジャンルも確立され、良いカメラっていうものの幅は広がっていた。

最初に僕はミラーレス一眼のOLYMPUSのE-PL2に目を付けた。 価格も五万以内でレンズキット。デザインが少し野暮ったいが、悪くないと思ってた。 しかし価格.comで調べていくうちに、ひとつのカメラのサンプル写真に心を奪われてしまった。 それがSIGMA DP2xだった。

  

ジャンル的には高級コンデジに含まれるそれは、採用されているイメージセンサ、 『Foveon』を持つ事を最大の特徴としていた。

それ以外は正直ひどかった。 オートフォーカスは迷う、暗所はまず無理、ISO800以上は使い物にならないetc…

様々なデメリットのあるカメラだったけど、それでもいえるのは、 当たった時の写真の『迫力』は触ってきたカメラの中でもダントツだという事。 それをどうにか当てる為に、色々カメラについて勉強した(F値焦点距離もこの頃から)。 このカメラのおかげで、僕は重い腰を上げてカメラの勉強を出来たといってもいい。


 

※078.Photograph part.2に続きます